過度に適度で遵当な

在日日本人

同人誌の内容をパクられた話とパクったサイトが閉鎖してしまうまでの話

「パクる」は学の用語で「剽窃」と言うので、本文では「剽窃」と呼びならわします。

1 同人誌の内容を剽窃したサイトが出てきた
 さて、一昨年の8月から『街頭時報の近現代』という同人誌を発行しています。
www.melonbooks.co.jp
全く分かっていなかった防災行政無線や有線放送の時報の淵源を求めてマニア向けに書いた冊子です。この冊子を執筆した当時、メディア史の研究者さえ歴史研究に着手しておらず、見取り図になるような研究もほぼ皆無の状態でした。さしあたって横断的に論じるために「街頭時報」と名を打ち、国会図書館や全国の図書館をめぐって、行政資料、メディア資料、企業資料や、日記や回想録等市民が書き記した文献資料をかき集め、その分析から問いをつくりあげます。トリビアルな内容に留まらず、本職の研究者が目を通しても知的好奇心を充足できる内容を目指しました。

蓋を開けてみると非マニアの方にもお求めいただき*1、意外とTwitterでも評判は悪くありませんでした。なんと本職の研究者の方もお求めになるなど、目的は果たし、出版した甲斐があったと思ったものです。新事実や論が深まるたびに補筆改訂を加え、当初書き上げた分量の1.5倍程の長さまで増量しました*2。書いたものを面白がってくれる人がいると作者としてこれほどうれしいものはありません。

 ところが、昨年の夏、「打鐘式チャイムの継承」と名乗るサイトが現れます。このサイトの管理人氏は面識もあり、私の冊子を購入済みであると確認しています。中身をみるとあらびっくり!私の同人誌で初めて指摘した(同人誌のオリジナリティ)歴史的事実が、私の同人誌の引用符が全くないまま編集されています。あのねえ、文言を変えても分かる人には分かるんです。議論の道筋は誤魔化しようがない。その上劣悪な英語訳で「要約」までされている。これは愉快ではありません。そこで剽窃の指摘と内容の撤回を求めるべく、WEBベースで行動を起こすことにしました。

2 どう対処したか
一般に剽窃の場合、「著作権」を剽窃指摘の理論武装に用います。ですが法律の解釈は素人には難しい。言わずもがな、判例もズブの素人が使えるほど易しいものではありません。それに「著作権」は丸写しや一部を改変した場合に用いられる方法論です。要約や論理の微妙なぶれを包摂は難しい。

そこで「著作権」という法的解釈を伴う論理で相手を攻撃するのではなく、学の世界で一般的に使われる「剽窃」を用いた方が得策だと判断しました。そのわけは
1 素人には難しい法的解釈を伴わず、剽窃の指摘に必要な論理が広く流通しているため。
2 先行事例が豊富なので分析と議論を立てやすい。
幸い、学の世界に片足を突っ込んでいた時期があり、剽窃で問題になる場合と対処法はそこそこの心得があります。そこで、以下の目標を設定しました。
第1水準 サイトの剽窃箇所に適切な引用符をつけさせる。
第2水準 剽窃箇所の全削除させる。
第3水準 剽窃サイトの閉鎖させる。
第1水準を仮の目標とし、サークルのアカウントで管理人氏のツイッターアカウントに抗議のリプライを飛ばします。


詳しい剽窃の内容と管理人氏の態度については上記のツリーをご覧ください。
ところが、「打鐘式チャイムの継承」管理人氏は剽窃の重さを全く理解していなかったようです。それ以降、私は再度抗議を行いました。

3 その後
「打鐘式チャイムの継承」は8月3日にサイトを閉鎖。以降、管理人の飯田薫氏は全く反応を見せません。とはいえ、第3水準まで達成されたので本願は成就しました。今後も定期的に弁解の督促は続けています。が、本人は既に雲隠れを決めている以上、期待した結果はなさそうです。同人誌の内容をもとに学の査読論文を書いているため、いわれもない疑いを被る訳にはいきません。今回の対応は徹頭徹尾正しいものだと考えています。

4 教訓
他人の褌で相撲は取るな。

*1:売れ行きも上々で、コミケで出品すると12時頃には完売します。

*2:当初は500円で販売したが、現在、対面販売だと1000円で販売しています。