過度に適度で遵当な

在日日本人

「辺野古」へ行ったこと。

最初に勤めた場所は沖縄本島だった。約半年と、短くはなかった。
土日休みの1日を利用して辺野古を訪れた。辺野古は那覇バスターミナルから路線バスで約2時間かかる。辺野古まで乗りとおした乗客は自分一人だった。
辺野古の街はとても静かだった。街の中心に雑貨店があった。買い物は名護で済ますのだろうが、最低限の生活水準を維持できる。問題はウンチが漏れる寸前だったことだ。そのお店でお手洗いを借りた。

翌日、会社の先輩たち、同業他社の新卒さんたち ―いずれもウチナンチューだ― に辺野古訪問を話した。
彼らは異口同音、
「あんな田舎になんの用があったの?」
と言った。全員、同じだった。
ウチナンチューの腹芸だ。
「ヤマトンチューのお前が辺野古にいく理由なんぞ分かっている。」
年齢立場を問わず、同じ返事を口にする。その意味は重たいように思った。

「あんな田舎」ですら、アメリカやヤマトのために取られる。
ウチナンチューの本音が暗闇から垣間見えたような気がした。

それ以降、ウチナンチューの方に辺野古の話はしない。