営団ブザーとベリル

「ベリル」とは東京メトロ丸ノ内線中野坂上駅B線ホーム発車サイン音の曲名である。

十分条件と必要条件がやっと腑に落ちた

長年意味不明だった十分条件と必要条件を鉄道になぞらえたらすらすらと分かった。
いや、なぜこんな簡単なことがわからなかったのか。
アホではないのか。いや、アホである。
範囲の問題であり、制度云々な野暮なツッコミはご遠慮ください。お客様のご協力をお願いいたします。

十分条件は、
・東京山手線内であれば、東京都区内である。
→ 非常に強い条件である。Bを言うために、絶対にその一部であるAを言う。
東京山手線内なら、東京都区内である(当たり前!)。

必要条件は、十分に比べれば、弱い。
・東京都区内であれば、まあ、東京山手線内である。
→ Bを言いたいがために、Bには不可欠なAを言うが、十分より弱い。
東京山手線内は東京都区内である(当たり前!)が、東京都区内の駅は東京山手線内の外にもある(当たり前!)。

必要十分は相互にガッチリとした組み技である。
・東京山手線内ならば必ず東京都区内であり(当たり前!)、東京都区内であれば、まあ、東京山手線内である(当たり前!)

で、逆とか対偶とか真とか偽を考えてみる。
・東京山手線内であれば東京都区内ではない。
んなわけねーでしょ。
・東京都区内でなければ東京山手線内である。
んなわけねーでしょ。
・東京山手線内でなければ東京都区内である。
判断保留(わからん)。
・東京都区内でなければ東京山手線内ではない。
これはあるかも(対偶)。
いや、なぜこれが思いつかなかったのか。

これまでITの世界の皆さんが使う比喩表現が死ぬほど不得手だったけども、鉄でやればいいんじゃないか。
なんで10年も20年もかかったんだ。まさに鉄キチである(『釣りキチ三平』)。
世間で言う「必要条件」と「十分条件」は逆に流通してんのか。

免許もそうだ。十分条件をひたすらやればよかったんだ。

まあ、回り道して苦しんだ分だけ得られたもんがあるわけだ。
ダイパだかコスパだかしらんが、それでは得られなかった。 


たとえば十分条件を発車メロディーで考えてみる。
・十分条件
「せせらぎ」はユニペックスである。
・必要条件
ユニペックスであれば、まあ、「せせらぎ」である。
必要十分条件
「せせらぎ」であればユニペックスであるし、ユニペックスであれば、まあ、「せせらぎ」である。

「せせらぎ」であればユニペックスではない。
ユニペックスでなければ「せせらぎ」である。
ユニペックスでなければ「せせらぎ」ではない。

わかんなくなったらここに立ち返れば良いのか。

「せせらぎ」と「十分条件」が並ぶと、自動的に「十条駅」に見間違える。
もう首都圏新汎用になったというのに。

京阪山科駅とビオトープ

小学生の時、京阪ひとり旅で初めて京都以東に向かって新快速に乗り、長浜方面を目指した。
京都の次は山科だ。

そうしたら、山科駅の駅前に京阪京津線の京阪山科駅がちんまりと座っていた。
京阪京津線は軌道法、路面電車だから路面電車なのはあたりまえなのだが、
窮屈そうに周りに包み込まれている様子がたまらない。
短い停車時間に京阪山科駅に目を奪われた。

不思議とかわいい!と思った。

なんというか、京阪山科駅のようなちんまりと電車の駅が座っている、ミニチュアみたいな光景に目を奪われた。
都電大塚のような整備計画に包摂されて立派な軌道や停留所があるとつまらない。
整備された駅前広場に取り残されたギャップがたまらなかった。
その違和感がたまらなくいとおしかった。

そのあと、Nゲージに手を出しても、大規模なレイアウトには全く興味を持たなかった。
京阪山科駅みたいな世界が作りたい、それに没頭した。
「鉄道コレクション」シリーズからエッジの効いた地方私鉄や国鉄車両のラインナップが出てきたおかげで情景のハードルが下がった。
アタッシケース(NHK呼び)に
・1950年台の地方私鉄
・1990年台の大都市郊外
みたいにテーマを決めた架空の情景を作り込むことに精を出し続けている。

そうした箱庭が好きで、バカみたいに広いだけの庭にジオトープを作った。
ミニチュアは人間の思い及ぶものしかできないのが不満だった。
小さな世界にいろんな生き物が根付いて生態系を作り上げていく姿を見守ると面白い。
神様気分ではなく、人間には思いもしない、及びもしない、地球生命のつよさ、しなやかさ、たくましさ、そういう「人智のおよばぬ世界」を日々見せてくれる。

ユニペックス?日本電音?誰が言い始めた?

ところで、「日本電音」製という言説がまかり通っているのですが、それはマジなんですか?
https://www.unipex.co.jp/seihin/sound...
(閲覧日:2025年6月11日)
によると、「ユニペックス株式会社 製作・著作」とあります。
日本電音とは一言も書かれていない。

こういうことも言えるわけです。
「本体の機器は日本電音製かもしれないが、JR東日本への販促(付加価値)としてユニペックスが独自に製作した。」
新聞記事が手掛かりになります。
『読売新聞』1997.08.30 「[東京の音をたずねて](10)発車ベル ホームごと異なる音色(連載)」
によると、
「東京駅などで採用されている「せせらぎ」のメロディーは、放送設備メーカー「ユニペックス」が開発したものだ。水流をイメージした電子音だが、一番最後になると半音下がる。」
とあります。うーん?ユニペックス?

なお、この後に
「当初、この曲は青梅線用に開発され、長さは三十秒もあった。だが、乗降客が多い都心の駅でも、「軽快でさわやか」とこのメロディーを採用するところが増え、長さを十一・五九秒に短縮して作り直した。」
とあります。

うーん?、「せせらぎ」は「多摩川」のイメージなのか?(ずんだもん)
めたん、はっきりすのだ(ずんだもん)

株式会社スイッチのリストを精査してみた話

もう2年も温めてきたネタです。
いつか書こうと思っても分量にメンドクセーと思ってきましたが、早起きしてしまったので書きます。

リストを精読したところ、何か変に思いつきませんでしたか?
自分にはありました。その話です。

さて、スイッチ社は著作権支分権のひとつ、公衆送信権を条件付きで認めている、わりと寛容な態度を取っています。
例えば松澤健は発車メロディーを「演奏」と呼んでいますが、それでは、駅の発車メロディーを録音した動画は商業ライブ演奏の内容を動画送信サイトにアップロードするのと同等の行為とも捉えかねられません。
というか峻別するのは極めて難しい。
その認識で行くと、野外ライブ動画と同じく黒よりのグレーと言えます。
ここを追究することは本論ではないので頭の奥隅にでもいれていてください。

さて、同社は「個人でのソーシャルメディアでの音源使用について」として2018年11月18日にプレスリリースを出しています。
問題はすぐにサーバから削除してしまっため、その一覧表のリンクが切れていることです。
そもそもプレスリリース一覧も限定的にしか残していないため、URLを探し出すのに苦労しました。
そういうとこやぞ。
幸いにもInternet Archiveに残っていました。以下をご覧ください。
web.archive.org
(閲覧日:2023年6月11日)

ちょっと待て。
JR東日本採用楽曲の中に「せせらぎ」「春」などのユニペックス音源、「JR-SH」シリーズや「Water Crown」「Gota del Vient」などが載っていないじゃん。

めたん、どういうことなのだ(ずんだもん)。
盲点だったわね、ずんだもん。それに気づかないとはまだまだ目力が足りないわね(めたん)。
うるさいのだ。めたんはいつも一言余計なのだ(ずんだもん)。

いやそんな難しくない。
こう考えれば筋道が通ります。
「スイッチ社の権利的距離に応じてランク付けしているのではないか?」

こういうことです。
A スイッチ社がすべての権利にアクセスできる楽曲
のみリストに掲載している。
とすると、JASRAC登録作曲者の塩塚博による「SHシリーズ」は複雑な問題があるためAランクに入れられない。
言い換えると
B スイッチ社が何かしらの契約に基づいて代理店機能を有している楽曲
があるとしてみる。
鉄道事業者との代理店業務、鉄道モバイルでの配信業務、諸々をスイッチ社に委託していると考えれば結構です。

例えばユニペックスは
https://www.unipex.co.jp/seihin/sound...www.unipex.co.jp
(閲覧日:2025年6月11日)
「JR発車メロディーに関するお問い合わせは、株式会社 スイッチ様へお願いいたします。」
の一文も納得します。
Aランクの完全譲渡ではないが、おおかたの権利や鉄道事業者との折衝(代理店機能)はスイッチ社に託している。
かなりのアクセスができるものの、核心部はユニペックス社が有している。つまりBランク、スイッチ社がフルコントロールできないため、に分類されたといえるでしょう。

じゃあ他にあるか?と言われたら、あると思います。
これまでの分類は「楽曲著作者などの諸情報が明確」だが、「スイッチ社の権利アクセス状態」で分けてきました。
となると、
「諸情報が明確」だが「スイッチ社が権利にアクセスできない。あるいは限定的にアクセスできる。」
「諸情報が不明確」で「スイッチ社が権利にアクセスできない。」
という2分類が考えられます。
「諸情報が不明確」で「スイッチ社が権利にアクセスできる。」
それは・・・ありえないと思っていいです。
この場合の諸情報は制作会社をも含みます。
そも会社命令の著作の場合、その著作物の権利は業務命令を出した企業側にあります。企業著作物ってやつです。
何もわからなくて誰と契約結んだんですか。

いわゆる「みなし子著作物」で文化庁裁定制度や同類の制度を使ったならまだしも、そうした話や情報は全くでてきませんでした。というか言い出しっぺクンなのでその辺の下調べはしています。

さしあたって
C-1 「諸情報が明確」だが「スイッチ社が権利にアクセスできない。」
C-2 「諸情報が明確」だが「スイッチ社が権利に限定的にアクセスできる。」
D 「諸情報が不明確」で「スイッチ社が権利にアクセスできない。」
とします。
Cは契約形態次第です。
販売はできるけれども、管理はできない、『西武鉄道 駅メロディ オリジナル』に採録された西武鉄道標準発車メロディーやその他のご当地系発車メロディーなどを考えてください。

Dはどうでしょう。「永楽音源」などでしょうね。「原宿a,b」や「蒲田行進曲」も入るでしょう。

こうしたスイッチ社と権利関係の距離は『~山手線全駅+α~』からうかがい知ることができます。
「ベル」、「原宿a,b」、「蒲田行進曲」などMIDI再現だったものが今回の非掲載曲にかぶっています。
なぜなのか、ずっと不思議に思っていたのですが、権利関係は伏魔殿的に広がっている、としか言えません。
さてさてそしてスイッチ社一覧表を手掛かりに何か変だなと思ったことを外形的に掘り下げていくとこんなことが言えるんじゃないか。

2年ほど暖めていたネタですが、書くのが面倒だったのでここまで長くなりました。

石橋をたたいて渡らない慎重派の方は
「JR-SH」シリーズや「Water Crown」に「Gota del Vient」もライセンス表記で配信できるものではないです。
ただし、包括契約を結んでいるためYouTubeは心配いりません。
「せせらぎ」「春」などのユニペックス系は無理です。諦めてください。

なお、自分は石橋の隣に別の橋を架ける系男子です。
叩いて壊すのもおもしろいですが、隣に新しい橋を架ける方が好きです。
その後にファイヤー!とアメリカ人が大好き爆破解体をやります。やりません。

つまり、この件について文化庁に何度も陳情に行っています。
が、担当者次第なところもあり、なかなかうまくいきませんな。
まあ、記録に残しておくだけでもいずれ何かの時に使えるでしょう。
そういう種まきだと思ってやっています。

サンライズだよ、全員集合。

サンライズ取れた。

 

仕事で大阪に行くんですが、帰りが遅くなるので1泊して翌朝始発新幹線ならサンライズ取れねえか?と。

試しにMARSでサンライズを叩いてもらったら、シングルデラックス以下瀬戸出雲ともに空きあり。

その場で確保してもらいました。

いまの時期なら台風の季節でもなし、東京までほぼ確実に運行します。

 

久しぶりのサンライズなのだ(ずんだもん)

7年ぶりなのだ(ずんだもん)

寝台特急なのだ(ずんだもん)

シングルデラックスなのだ(ずんだもん)

シャワー券争奪戦に参加する必要がないのだ(ずんだもん)

何年経とうが寝台特急に乗ると思うとワクワクが止まらないのだ(ずんだもん)

本当に指定されてる日付なのか?列車は来るのか?えんえんと待ち続けるあの瞬間が最高に楽しい。

いやあ、奇跡だ。空きがあった。

「マジですか?!」

と言ってしまった。

「ありますよ!」

と。

しかも気を利かせて2階室を取ってくださった。

いい仕事しますねえ。

「もう1本」の待ち時間

【『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の2年打ち上げ回の駅を探したら、黒木智子たちの深い信頼感を演出した場面だと分かった話】

マンガやアニメに電車が出てくると、路線、形式、駅を特定したくなる。
『オッドタクシー』でBOSEのスピーカと共に「発車メロディー」が流れてきたときは笑ってしまった。
BOSEのスピーカの金具と配線からしてJR埼京線の北赤羽駅から北与野駅にかけての島式ホームの駅、とまではすぐに分かる。

最近は写真からそのまま起こすのが流行りですからね。

田村ゆりちゃんが「次のにするから、もうちょっとだけ一緒にいていい?」と声をかけた2年の打ち上げの最寄り駅ってどこだろう。
当該のコマは「喪120」
設定を整理すると
・黒木智子の通う高校は「渋谷教育学園渋谷幕張高校」で、最寄り駅はJR海浜幕張駅
・黒木智子はJR総武緩行線沿いの実家からJR京葉線沿いの高校に通っている

→ 作者監修のテレビアニメ版ではJR総武緩行線から電車通学を始めている。
→ マンガ版は従来の丸いつり革の車内で電車通学している描写あり。
☆ 近隣で該当するJR車は武蔵野線車両。
☆ JR総武緩行線幕張駅から京成バスでも行けるが、西船橋駅乗り換え武蔵野京葉線経由と思われる。

で、肝心の打ち上げ最寄り駅はE233系が出ていることから、JR京葉線なのは明らかです。
つぎに黒木智子と田村ゆりは双方ともに京葉線下りで通学し、京葉線上りで帰宅している。
とすると、見送った電車は京葉線上り方面です。
ここまではすぐに見当がつきます。

さて、作者のニコをはじめ、最近のマンガやアニメはロケハン写真をなぞることが基本です。
※ アニメに超くわしい身内曰く、「もとは背景美術の負担や経費節約から始まったもので、それ以前は「自分で自分の街を作れて一流」」と言われていたそうです。
となると、モデルになった駅はどこかしら存在します。


引用の範囲になるか分からないのでお手元に「喪120」をご用意ください。
まず、田村ゆり、吉田さんたちが待っているホームの構造は島式ホームにありがちな屋根の構造をしています。
そこで対向式ホームとは考えにくい。
エスカレーターで上ってくる描写からホームの位置は高架線にあると分かります。
次に、ゴミ箱がホームの真ん中に設置されていることから、彼女たちの座っている場所は島式ホームと言ってよいでしょう。
さらに、入線してくる電車を見ると、進行方向左手に線路とホームがある。
となるとJR型の島式2面4線の駅ではない。

反対側の線路はぼやけていますが、少なくとも国鉄型2面3線か変則式ホーム構造の駅だといえるでしょうな。
この条件に合致する駅はJR千葉みなと駅かJR新習志野駅です。
両駅の構造から黒木智子たちは本線ホームではなく、副線ホームにいるとしぼりこめます。

次に電車の入線時刻を検討してみます。
田村智子たちの打ち上げが終わった時刻は3月の時点で夕闇の時刻です。
となると、高校生の打ち上げ終わりの時刻からして18~20時ごろだと言えます。

その時刻に副線ホームに上り電車が入線する駅は新習志野駅しかありません。
JR千葉みなと駅の副線に上り電車が入線する時刻は朝の9時です。
下り電車なら21時に入線しますが、電車はコマの下手から上手に移動しています。
日本の電車は左側通行です。進行方向が逆だ。

これで、彼女たちのいた駅がJR新習志野駅に絞り込めます。
確かにJR新習志野駅周辺ならこうした飲食施設も海浜幕張駅より少なくない。
海浜幕張ってオフィス街と野球チーム系歓楽街だからご飯屋さんがそうした傾向に絞られる。
JR新習志野駅ならありそうです。というかあの辺を散歩したことがあるのでわかります。
なぜかって?すぐそばにJR京葉線の車両基地があるからです。

話を元に戻すと、18~20時台のJR新習志野駅副線は20分~30分に1本程度の頻度で上り電車が入線します。
夕方ラッシュの下り送り込みを兼ねて車両基地から据え付けてくる電車です。

この時間帯のJR京葉線は5分間隔が基本です。
そして「次」に乗るためには隣の本線ホームに行くしかない。
たった5分です。
わざわざ階段を上下して隣の上り本線(3番線→4番線)に行こうとするような場面じゃない。

そうです。田村ゆりちゃんは3番線のATOS旅客案内表示に出た「次の始発電車」を待とう、と、言ったんでしょう。

ははあ。「次の」時間はほんのちょっとではなく、結構な時間なんだなあ。

しかも黒木智子と田村ゆりは武蔵野線直通電車に乗り換えるので、必然的に南船橋駅乗り換えになります。
その電車は20分に1本なので乗った電車が接続するとは限りません。もっと時間をかけてゆっくりと帰ることになる。
武蔵野線直通電車はほとんどが南船橋駅始発なので、始発に向けて20分も待ち続けることになる。
それをお互いに腹芸で通じ合ったっていうのだから、よほどの信頼しあってるとよくわかる。

そしてまあ、JR首都圏管内は各系統ごとに発車メロディーを統一している途上です。
JR京葉線もこの1週間で東京⇔市川塩浜(舞浜を除く)と一気に変更が進みました。
彼女たちが聴いたであろう発車メロディーも今日明日には変更になるでしょう。
この記事を書いていた15時ごろ、京葉線東京⇔千葉みなと各駅の発車メロディーが(発車メロディーの使用権を購入している舞浜駅を除く)全駅で交換されました。
統一後

統一前(きっと智子やゆりちゃんも聴いたであろう曲)

1本だけ、新海誠の『君の名は。』と発車メロディーを絡めた論考を書いたことがありますが、そこに登場した曲もほとんどが変わってしまった。
https://1drv.ms/w/c/4d61f1363a8e334d/EVWcVgz--BFIhv3IyMrNGa4BGMb8RPxUSsXrzQrLC4dcxA?e=ZMxMNP

いろいろなものが遠くなっていきますね。

申し訳ありません、この電車は、止まれません。

【職員の演技はあくまで職務遂行の姿でよい】

帝国の敗戦から3年。国内の資源は払底し、電車のまともな保守整備すらできないほどだった。
そして熟練の運転士の復員も進まず、まだ一人前とは決して言えない運転士が必死に運転していた。

そして昭和23年3月31日。近鉄奈良線の奈良発上六行き急行電車がついに破綻。制動できずに生駒の山を滑りおりて行った。
おりしも朝ラッシュのど真ん中、3両編成の電車は超満員のすし詰めだった。
生駒駅発車後、電車の制動が効かないと悟った運転士は乗客にこう言って頭を下げたという。
「申し訳ありません、この電車は、止まれません。」

話の枕に近鉄奈良線電車暴走追突事故を。
運転指令の指示で近鉄瓢箪山駅はわけもわからず、待避線に奈良発上六行き準急電車を入線させた。
待避線停車を確認後、転轍機を本線側に進路を戻す。
すると、転轍機が本線になったかならないかの間に、すさまじい勢いで暴走する急行電車が通過していった。
という話があります。
よく孔舎衛坂のカーブを曲がりきれたな。すごいなあ。
近鉄奈良線に乗るたびに思います。

安倍さん、安倍さんのおかげで近鉄快速急行じゃなく近鉄特急で奈良に行けるようになったよ。
大和西大寺駅もだぞ。

また話が長くなった。
『新幹線大爆破』の旧作と新作を見ました。
区別のため『(国鉄)』と『(JR)』とします。ぼくには非常に分かりやすい。

で、思ったのは、『(JR)』はJR社員役の俳優が変に演技しているから台無しになっている。
『交渉人 真下正義』のTTR八重洲線1072電車運転士のようにもう突き抜けていればいいんですが、『(JR)』は何というか、気張って緊張感を出そうとして逆に白々しくなっている。

これに気がついた出発点は『SpaceBattleShip ヤマト』*1の第一艦橋の面々です。各乗組員が慌てる感情を根底に置きながらも軍人としての冷静さを出そうとしている。結果何かが壊れている。なんでや。

これが不思議に思い、この感覚を掘り下げた。
どうやら変に演技づけることで場面をおかしくしてしまっているのだと確信した。
極めて訓練された軍隊では起こりえない。
さらに心理的動揺を抑えるために普段の行動をより深化して行動する現象は広く知られています。
集団的逃避は起こりえない*2

さらに観客論的に見ると、どの感情にフォーカスを当てればいいのか分からない。
一場面の感情はひとつしかない。
これを「第一艦橋現象」と呼んでいます*3
これだ。

『(国鉄)』を見ると新幹線指令の宇津井健や「ひかり」109号運転士の千葉健一はが努めて冷静かつ整然とした国鉄乗務員としてふるまっている。ふたりとも騒々しい演技で売っていたころです。
他の「ひかり」109号車掌や、国鉄上層部も同じくです。
もちろん宇津井健や千葉健一の見せ場を作るために慌ただしい場面はあることはある。ですが、基本騒がせる役は旅客です。

ただ、新幹線指令の宇津井健が国鉄東海道山陽新幹線の先行各列車乗務員に対して冷静に次々と指示を出し、各指令員がPTC*4をPRC*5からCTC*6に切り替え、浜松駅、豊橋駅、名古屋駅、名古屋駅留置線、岐阜羽島駅、米原駅、京都駅、新大阪駅、鳥飼車両基地に先行列車の待避が整然と行われていくシーンはよかったですね。これぞ運転指令。
あとは車内信号の指示に従い、列車を安全に停車させる仕事が待っている。
いやあ、かっこいい。これぞ国鉄。これぞガミラス。

『(JR)』はそれぞれの俳優が精いっぱいの演技をしたと思います。ただ、この「冷静に」「整然と」が欠け落ちている。

国鉄が軍隊だとしたらJRは人間も民営化してしまっている。

話がそれると、『交渉人真下正義』もTTR運転指令代表はあくまで運転指令として毅然とした態度でいる。
だから「お母さま」からの電話で観客の緊張がほぐれるわけです。

異常時の鉄道員を山と観察してきた結果思うに、そうした「パニくる」要素を徹底的に排除している。
国鉄北陸本線急行「きたぐに」号北陸トンネル火災事故で機関士は火災の火種となった食堂車の切り離し作業に集中していた。結果は言うにはばかれる。

後世に思うと、消火や切り離しはあとにして列車を南今庄駅まで待避させるべきではなかったか、現場付近で停止現示に従い停止していた503M列車急行「立山」3号大阪行きがいなかったらどうなっていたか…は言うは易し。黙れ。
なぜか。簡単です。拠り所となる業務規則があったからだ。それが旅客のいのちを守ると信じていたからだ。
現代の指令員や運転士もそこは変わらないと思います。

異常時の動きも普段の訓練と変わらないでしょう。
アトランダムに例を挙げると、ソビエト連邦による大韓航空機撃墜事件の際、大韓航空機を領空侵犯した国籍不明機として撃墜したパイロットの声は驚くほど淡々としている。
そして、先日のJR東日本東北新幹線郡山駅列車過走追突事故の際の運転士もそうだったんじゃないか。
いや、バイトの先輩や後輩で鉄道パーソンになった方々を見ると、そうだと確信しています。

『(JR)』はなんだか腑抜けてるなあ、と、つらつらと書きなぐった次第です。

ところで、ぼくは『動脈列島』の方が好きです。

*1:キムタクが古代進をやったあの映画です。

*2:これは災害心理学の成果です。

*3:ただ、キムタクは『ヤマト』が大好きなヤマトの大先輩です。抜擢されたことに大喜びで、少しでも古代進になろうと『ヤマト』を見まくったが、スタッフから「いつものキムタクで」とキツく言われて渋々諦めたそうです。なして。

*4:運行制御コンピュータ

*5:自動運行管理システム

*6:中央直接制御システム