過度に適度で遵当な

在日日本人

8月にむけての進捗状況

お久しぶりです。ノートPCのキーボードがいかれたので外付けキーボードを買い、画面がいかれたのでHDMIとモニタを購入しました。延命治療をさせられている末期がん患者に見えてきました。新しいノートPCを買えと言う話ですが、金がありません。許してくれ。

夏に向けた同人誌「『街頭時報』の近現代」の進捗ですが、見込み作業量に対して4割です。資料関係はほぼ収集が済み、一気に原稿を書き上げるだけ、にまで来ました。ただ全体を通して記述の削減や構成の変更が必要なところがあり、できごとを網羅して終わりそうです。社会史的叙述をめざしていたのですが、使うべき資料の消化や構造化に割ける時間に限りがあるため、8月の締め切りを考えると、やむをえませんでした。ただ、中途半端な記述としたくないため、増刷する場合に、補章として挿入することを検討しています。

この冊子の目的として、
① 既存の趣味者には、街頭時報の歴史的過程という新たな視点の獲得
② 興味のない方にたいし、街頭時報の奥深さを知ってもらう
③ 既存のアカデミックな研究と現在の趣味者との接続を図る
の3つを掲げています。
それゆえ、序章や第1章では先行研究のフレームやそこでのリサーチクエスチョン、獲得された知の紹介やざっくりとした議論を進めています。序章や第1章をもとに、第3章では現状の趣味者による詳細な調査から視点を見出し、アカデミックな知に接続を試みています。

こうした目的をふまえ、現状、検討している章立ての構成です。
序章
第1章 古代から近代の街頭時報
 第1節 時間規範の厳格化と時報
 第2節 近代日本と時報
  第1項 ラジオと時報
  第2項 時の記念日と生活改善同盟
 第3節 街頭サイレンの登場
  第1項 東京市のサイレン設置
  第2項 皇族と国民のメディアとしてのサイレン
 第4節 終戦後のサイレン
第2章 戦後から現代の街頭時報
  第1節 「愛の鐘」
  第2節 「有線電話」と「有線放送」
  第3節 「同報無線」と「防災行政無線」
  第4節 これからの街頭時報
第3章 まとめ
  第1節 街頭時報の意義
  第2節 街頭時報を趣味する意義
附記 「愛の鐘」の全国リスト
参考資料・参考文献


の序章をふくめた4章構成です。新聞記事や雑誌記事などから社会史的叙述を、政策的主体の動きを把握するため、官公庁発行の雑誌や議事録、あるいは広報誌を利用します。また、本冊子の視点を時間規範の厳格化とその担い手としての行政・社会運動団体に定めるため、時間論に関する先行研究をもとに、適宜補足していきます。さらに、現代の街頭時報として主流の「自治体ミュージックチャイム」の浸透や担い手を把握すため、企業広報や広告、内閣府などのパンフレット、研究者や専門家による調査報告なども随時利用していきます。

こうした資料は調査の制約もあり、戦争前のものは薄く、戦争後のものは手厚い記述になる、と、現状では検討していますが、作者の余裕をみて、戦後の社会的反応なども、今後増刷する際に補章に組み込むことも考えています。場合によっては、資料消化や構成に時間を要する社会の反応をまるまる削除し、補章で記述することも検討しています。

以上が、現状での進捗です。現在、序章と第1章の草稿が完成しており、第2章の戦後編に着手しています。こちらの戦後編ですが、先日、資料調査によって新たな発見的事実があり、新たな節として第3節を挿入しました。全体的に記述を改変する必要もあり、今後の作成に影響を及ぼしそうです。

委託先についても依頼をさせていただいており、このままのペースで行けば、8月のコミケでみなさまにお渡しできると思われます。

次の報告では、今回以上に善いことが言えるように励みます。