過度に適度で遵当な

在日日本人

前回の続き

前回の記事で地域防災行政無線を利用した、正時のチャイムについて分類を試み、それらで用いられている原盤発掘について紹介いたしました。
それからしばらくし、いくらか原盤を探し当てた自治体があり、以下に紹介いたします。
・東京都足立区
 …「夕やけこやけ」
  編曲 南安雄
  演奏 ストリングス・エマノン(NO NAME)
・東京都葛飾区
 …「夕やけこやけ」
  編曲 若松正司
  歌唱 山野さとこ&森の木児童合唱団
  演奏 コロムビア・オーケストラ
・東京都大田区
 …「夕やけ小やけ」
  編曲 矢代秋雄
  指揮 ジャン=フランソワ・パイヤール
・愛知県蟹江町
 …編曲 高原いづみ
  
のそれぞれです。

東京都葛飾区の音源は日本コロムビアから出版されている童謡オムニバスCDから作成されており、探し出すのは容易でした*1。買わずとも自分のCDラックにそれを収録したメディアがあり、非常に美味です。楽々原盤旅行。
くわえて足立区の夕焼け放送について掘っていったら、曲間のアナウンサーについて取り上げている記事に出会いました
*2。先の脚注によれば堀江慶子さんという方で、1991年ごろから現在の放送と同じものを使用しているようです。現在入手できるCDはどれもそれ以降にプレスされたものですので、足立区の夕焼け放送は、それ以前のレコードあるいはテープから起こしたものなのでしょう。埼玉県で幸手市や新座市の定時放送でアナウンサーを務めている女性は誰なんだろう…、と、調査欲が上がってきました。ひと段落ついたら調べてみたいですね。

さて、こうした調査は悉皆調査にならざるを得ません。対手がわからない以上は目星をつけることがどうしても難しいからです。手軽にできる発掘として、試聴機能のある通販サイトやitunes、Google Musicなどをアーカイブとして活用してきました。愛知県蟹江町の原盤もたまたまitunes上で発見したもので、現代のネットワーク上に形成されたクラウド的機能に驚嘆しています。しかし、それではitunesやGoogle Music等にライブラリを登録している曲以外は探すことはできません。では、どうするか。
そこで、公立図書館所蔵のメディア*3を利用しました。とりわけ国会図書館はご存じのように、日本のすべての出版物収集を理念としており、それはこうした音楽メディアも例外ではありません。漏れは否めないものの、試聴不可能のメディアを可能な限りリスト化を試み、国立国会図書館や都立図書館などの大規模公立図書館で収蔵されているものや、各都道府県図書館横断検索機能から該当盤をしらみつぶしに探し、確認してきました。
しかし、残念なことに、上記以上のものはなかなか出てきません。現状では原盤発掘自体は頭打ちになっています。埼玉県鶴ヶ島市などは海外オケのメディアも含めて発掘しており*4、ここから先は少々時間がかかりそうです。

もう1つ、新座市あるいは鴻巣市などで使われている瀟洒楽曲については、編曲者および出版元の調査が完了しました。業務用の市販されていないものであり、今後接触を図っていきたいのですが、個人での入手は少し難しいかもしれません。

進捗がありしだい、報告をさせていただきます。

*1:日本コロムビアのCDから童謡オムニバスを適当に見繕えばよい話ですから…

*2:「慶子の時間」ですよ=微笑が魅力のプロアナウンサー(上)|穂高健一ワールド~書斎の小説家が街に飛び出した、気鋭のジャーナリストとして http://www.hodaka-kenich.com/Journalist/2014/06/11211144.php

*3:CDやレコード、テープを含めて

*4:チェコの放送管弦楽団かなと思ったらことなり、国産でもいろいろ手を付けていますが、残念ながら見つかっていません。オケの演奏会ではフルート強調は弦を殺すのであまり好まれていないこともあり、レーベルお抱えの楽団が演奏したインスト曲かなあ、と検討はしています。ビクター系列ではなかったし…。

同人誌を書いてみて

・結論
同人誌を書いて反省していたら、自分の弱点が見えました*1

・目的
自己のふりかえりと同人誌の宣伝

・今後の課題
趣味空間における活動の立ち位置の自覚


さて、私は高校にいた頃からいわゆる「同人誌」を書いておりました。とはいえサークルには属さず、自分ひとりで書き散らすスタイルを貫いているので、一般的な原義の「同人」ではありません。しかし、自分の趣味に関する自費出版で、かつ公開の書籍市場に流通させていない場合なら、コミュニティによっては「同人誌」と呼称することがあるので、今回はそのように呼びます。
どのような「同人誌」を書いているか。まず、小学生より続けていた日本の廃墟や多摩の戦争遺跡訪問体験記等を高校生の頃は主に書いていました。その後、学部進学後はアニメBGMに関するもの、アニメ舞台設計に関する訪問記録に手を付け、現在はそれらの続編と、規範とそのトリガーとなりうる音楽に関した論評を書き散らす準備を重ねています。本分はどうしたんだろう。

そのどれもが、自分の趣味対象の調査という手法をとり、東京という都市が積み重ねてきた歴史や、経験から生み出してきたカルチャアを記述することを目的としてきました。高校生の頃は書かずとも察するかたも多いでしょう。廃墟は産業構造や交通流路の変化から放棄された人里であり、戦後日本の歴史のひとこまを保存した場所であると言えます。アニメBGMであれば、アニメ産業の利潤最大化の中でアニメBGMの販売という手法が取られ、それは、東京に本社を構える資本の営業努力の結果であった。しかし、それはあくまで新しい手法ではなく、すでに映画産業では当時から一般的に取られている方法であったこと。現在手をつけていることは、都市問題の解決のためにあるカテゴリの音楽が考案され、官と民の手で徐々に日本全国と波及していった、という経緯を行政資料やメディア資料、関係者証言から追っていくこと。など。

そして、それらを読み返しても、「肝心の主張」は意図してぼやかしている、あるいは読み返しても伝わりにくいものがほとんどであること。

なぜでしょうか。筆記録を残していないので、記憶を頼りにそれらの制作状況を振り返ります。
すると、「藪をつついて蛇を出したくない」とのフレーズが頭を走り回りました。
一般的な用法とは異なり、おそらく、面倒からなるべく離れていたい、という願望です。
それをこの活動にあてはめて考えてみましょう。

主張するには責任を取る必要がある。それは、なぜこの対象を選んだのか*2、主張する意図や目的と選択対象は適切であったのか、この結論は妥当であるのか、それらにたいし、丹念に答える必要がある。それが果たすべき責任です。
しかし、それらを明示していない。後付の考えであったという可能性を考慮しても、先にも言ったように、それを意図してぼやかしているようにすら思える。面倒なことはなるべく抑えたい。


あ、これおれの人生じゃん。

うわ。

やっべえな。



こうした活動を経時的に追った結論と、心性を直結するのは飛躍があるかもしれません。
しかし、どうにも、いろいろなところで当てはまる。行動原理に近いところがある。
考えまい考えまいとしてきたことなんですが、どうもわかってしまったようです。
なるべくタイムスパンを長く取ったことで、こうした態度が可視化されたのでしょう。
自分の活動を振り返る機会を今まで設けずに来たのですが、ある程度客観視できる機会となった。
とてもよかった。

こうしたことで課題が浮き彫りになりました。
これをふまえ、今後の自分の活動を再構築していくことにつなげていかないと。
もちろん、これは趣味活動に限りません。


さて、今後の趣味活動の方策はある程度ですが固まっています。
それと同時に、過去作をリバイバルあるいはブラッシュアップし、もう一度上記の理念のもと立ち位置を捉えなおすこともしないとならないかも、です。しかし、保存していたPCがクラッシュしてデータが消えたいま、当時のものを復刷するのはかなり困難です。あくまで心構えとして認識する、くらいが現実的なのかもしれません*3
ただ、こうして書いてしまった以上、現在進めている「街頭時報」はその課題をなるべくクリアにして進めていかないとなりません。もちろん、がちがちに考えず、一般的に「好きだから~Aする」という心構えでも善いのでしょう。ですが、そうであっても小学生の時より持ってきたマインドは大事にしたい。その延長線上にある活動であると忘れたくはない。*4
最後に少しだけ触れると、根源的な問題として、趣味活動はあくまで本業と余暇の軸に展開していくものでもあり、肩の力を抜く機会でもある。余暇活動にそうした徹底を求めることの是非、これに対する検討を引き続き行っていくことも今後の課題です。

その辺のバランスを取りつつ、自分の趣味スタイルを模索していく。
趣味をせんと生まれけん。やっていきましょう。

*1:別に特有ということではなく、継続的にある経験をしていれば、そこから反省は得られるということです。

*2:それは、なぜ「趣味の自費出版という手段を選んだのか」というプリミティブなとこから始まります

*3:面倒だから、じゃないですよ。

*4:そういうことがしたければ、そうするためのフィールドがあるわけです。

原盤を探して

日本の街を歩いていると、正時あるいは夕方の時間になると音楽が響き渡る。

こうしたチャイムを耳にすることが多いと存じます。

たとえば、12時になると「恋は水色」や「エーデルワイス」。夕方になると「夕焼け小焼け」、「家路(新世界より・遠き山に日は落ちて)」、「ふるさと」などなど。思い出せば聞いた記憶がある方がほとんどではないでしょうか。

これらのチャイムは市町村が運営している「市町村防災行政無線」と呼ばれるシステムを利用して流されています。現在、日本の自治体では7割以上に設置されており、有線放送も含めると、おそらく半数以上の自治体でこうしたチャイムを流しているのではないかと推察されます*1

こうしたチャイム。毎日決まった時間に子局と呼ばれる電波塔を稼働させることで、平時から故障等のチェックを行うことが目的であるとされています。こうしたチャイムに着目してみると、例えば農業漁業などの一次産業に従事している住民が市町村の50%以上だと、朝間や正午にも流されるようになる、など地域の主とする生活スタイルを可視化する効果があったり、こうしたもの掘っていくといろいろ興味深いものがあります。しかし、今回はそれが目的ではありません。

さて、これらのチャイムはもちろん原盤があり、それらの流す媒体から、多くの場合、2タイプ4類型ほどに分類することが可能です。
Aタイプ 打鐘式
…旧東京都三鷹市など

Bタイプ 音源式
納入機器の音源を利用したもの
…東京都千代田区、東京都墨田区、東京都江戸川区、東京都立川市、東京都小平市など

演奏を収録したもの
…東京都三鷹市(打鐘式を録音)、東京都港区(自治体職員の演奏を録音)、東京都小金井市と埼玉県吉見町(どちらも現地関係者が演奏)など

市販あるいは業務用CD、もしくはwebサイトから引用したもの
…東京都大田区、東京都足立区、東京都墨田区(旧)、東京都葛飾区、東京都練馬区など

Aタイプの打鐘式は名前の通り、鳴らした鐘の音をマイクで拾い、それをチャイムとして流す方式です。デジタル化前の東京都三鷹市があげられます。まさに「チャイム」というべき方式です。youtubeなどの動画投稿サイトで、この方式の実演を見ることよできます。

Bタイプの音源式は、CD、ROMカード、レコードやテープなど録音媒体は問わず、記録したメディアを再生している方式です。その中でもさらに3つの類型に分けることができます。上記に記したように、
① 機器備え付けのもの。
② 自治体職員や学校の生徒、あるいは現地の住民などが演奏または制作した音源。
③ 市販のレーベル、あるいは業務用レーベルからおこしてチャイムとしているもの。
のそれぞれです。
①については、インターネット上で愛好者のみなさんがyoutubeあるいはブログ等に調査結果を発表されていることもあり、ここでは扱いません(みんなやってるしおもしろくないでしょ。)。
②も同様です(おもしろくないでしょ)。
そして残った3番目の「市販レーベル」発掘、今回はこれを扱います。

どうもマニア心に、こうした原盤をそのまま聞いてみたい、という希望があります。
それこそ「君し踏みてば 玉と拾はむ」の精神です。我ながら謎の好物と原動力だ。

防災行政無線のミュージックチャイムは、聞いた住民にすぐわかる必要があるためか、「ふるさと」「夕焼け小焼け」「ウェストミンスター・チャイム」など、なじみ深い音楽が用いられている場合が多くあります。また、単に鐘を模したチャイムだけではなく、オーケストレーションされた曲が用いられていることもあります*2。そのほかにもジャズ風にアレンジされた楽曲や歌入り歌謡を使っている自治体など、バラエティに富んでいます。こうした楽曲、特に「ふるさと」や「夕焼け小焼け」の民謡あるいは唱歌などは、大手レコード会社のレーベルからオムニバス形式のCDが発売されており、そのレパートリーにオーケストレーションされたものもあります。くわえて「アニーローリー」や「家路(新世界より・遠き山に日が落ちて)」などの西洋音楽は、ネームバリューも高く、国籍を問わず、クラシック楽団が演奏したCDも数多く発売されていることは言うまでもありません。
偶然にも、オリジナルのミュージックチャイムを用いている中に、そうしたCDから抜粋あるいは編曲したミュージックチャイムがあることを知り、こうした音楽の原盤発掘を現在行っています。これが思いのほか興味深く、童謡とそれにまつわる資本や芸術家たちの思惑、というのは奥深いものがあるのだと実感します。21世紀で主に歌われている童謡は、明治時代あるいは大正時代にかけて、西洋音楽と西洋文芸(散文詩)の影響下のもとに作曲されたものが数多くあります。こうした西洋芸術を受容したうえで作られた音楽が「オーケストレーション」され、それが「抒情」「懐古」としてラべリングされている。そうしてみると、日本の童謡と「舶来の音楽」を受容吸収していった過程、というのは密接な関係にあるのだな、と考えてしまいます。専門家でもないのでやめておきましょう。

さて、いま用いている探索の方法(ノウハウというほどのものでもないのですが…)を以下に紹介いたします。
A 機械判定
 …youtubeの機械判定を利用する。*3
B インターネット検索
 …ショップ、通販サイト、itunes等音楽配信サイトやCDジャーナルの楽曲検索を利用する。
C レーベル調査
 …Bの漏れを補うため、大手レコード会社のレーベルについて過去の分から調査する。*4
D 公立図書館
 …楽曲使用自治体の図書館を調査する。*5

の4例です。
大した方法でもないのですが、こうした作業を続けることで、童謡やそのオーケストレーションされたCDのリストアップをこなし、原盤発掘につなげていければ…いいなあ。そのほかにも、日本コロムビアであれば「実用シリーズ」と銘打った、様々なシチュエーションに対応したオムニバス形式の童謡インストCDもあり、こうした方面もリストアップしていかないと~と唸っているところです。
ただこの方式で行くと大手レーベルの楽曲はおおかたで網羅できるのですが、漏れは否めません。いっぽうで中小レーベルの楽曲だと、なかなか反映することが難しくなってしまいます。また、探索の性質上、悉皆調査ということもあり、どうしても時間がかかってしまいます。時間がかかる分には構わないのですが、今後は市販レーベルではない、業務用のレーベルにまで手を広げることも必要です。いち素人がそこにたどり着くまで、いま以上の根気が必要となってくるでしょうし、軍資金の目星もつけないとなりません。そちらが続くかどうか、いや、続けますが。


それでも現在、youtubeに1自治体の原盤動画をアップしております。それに加え、この1週間で2自治体1地域の原盤を発掘したこともあり、準備が整い次第アップロードをしていきたいと考えいます。

ところで、埼玉県新座市・鴻巣市・熊谷市、東京都清瀬市で用いている、あのジャズ風アレンジはどこのレーベルなのか。これらと同じコンセプトで作られたと思しき「富士の山」が使われている場所を静岡県で確認した、ということもあり、おそらく広く流通していたレーベルのものなのだろう、とは推察できます。新座市の機器納入会社がNationalであり、かつて傘下でもあった松下(National)-日本コロムビア路線が怪しいのではあるんですが。

ひきつづき、原盤を発掘しだいご報告ができればと存じます。




うーん。無職になったのに何やってるんだか。

*1:管轄する総務省のサイトによれば、現在全国で約8割の自治体がこのシステムを利用しています。各地域でばらつきがあり、首都圏では約92%の自治体が導入しています。 総務省 電波利用ホームページ | 防災行政無線

*2:たとえば東京都足立区、東京都練馬区、埼玉県鶴ヶ島市など

*3:youtubeの著作権管理で用いている判別機能で、時折、アップロードされたミュージックチャイムの原盤が明記されていることもあります。

*4:日本コロムビアやビクターエンタテイメント、キングレコード等老舗は豊富な制作事例があります。

*5:実際に神奈川県のある自治体では、公立図書館のCDから抜粋しマスターを作成した例もあります。

ラブライブ!東京ドーム公演の決まった過程を推察してみる

※読了までに約10分要します
【概要】
本投稿では、ラブライブ!東京ドーム公演が決定した過程について考察を行った。
テレビアニメ放映告知に関する時期や、ライブの動員数から、
・劇場版の結末:2013年11月末辺りに決定
・ドームの予約:仮予約が2015年2月ごろ、本予約が2015年11月頃
との結論を得た。
また、16時開演は、21時30分までしか公演のできない東京ドーム側の事情があると推察できる。
前回ですら4時間30分行っているが、それ以上に曲や演目が増えている。
今回は、開演可能な5時間30分フルに使い、16時から21時30分まで行われると考えられる。



昨年(2015年)12月5日に東京MXテレビ「ラブライブ特番 μ’sこれまでとこれから」でμ'sの東京ドーム公演「FINAL LOVE LIVE μ'sic forever」が発表されました。この「FINAL」「forever」という名もあいまって、また、それを助長するスポーツ紙やバイラルメディアの記事*1*2もあり、2010年代前半のアニメコンテンツ産業の屋台骨を支えてきた作品の終焉、との印象を抱いた方も多くいらっしゃるかもしれません。加えて、先行して2015年6月に封切られた「ラブライブ! the school idle movie」も「9人がアキバドームで解散ライブをする」という結末で締められており、現実とアニメの設定が同様の道筋をたどったことも、その傾向をさらに加速させた、と述べる媒体も多々あります。アニメと担当声優ユニットのフュージョンがコンテンツの中核にすえられていたこともあり、これもある意味既定路線として捉えられていた、劇場版公開後のTwitterにおいてそのような感想もちらほらとあがっていました。それをネタとした「釣り」もあったこと、これを覚えておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして、その「釣り」がまとめブログに取り上げられた。*3 それだけ、この「ラブライブ!×東京ドーム公演」はアクセスを稼ぎやすい、注目や関心が広まり、情報が求められていたものであった、ということを裏付けていると考えられます。その後、大方の予想通りに「6th」は東京ドームでの開催が告知されます。

さて、東京ドームで公演をするとなると、相当前から企画立案を行わなければなりません。プロジェクトとして進行するためには、ちかごろ「セトリ」と呼ばれることもあるライブ本編の構成のみならず、舞台設営とそれに関する関連会社、物販やそれに関した関連会社との折衝、会場管理法人や警備会社、管轄警察署との折衝、それら全て解消したうえで最終的な立案をしている必要があります。言わずもがなですが、ラブライブ!のコンテンツはあくまで営利事業です。確実な黒字が予想できなければ、担当者の裁可はまず得られないでしょうし、諸経費をすべて入場料および物販の売り上げでまかなえるほどの利益が出ることを盛り込んでいなければなりません。
また東京ドーム側の問題もあります。東京ドーム単体のレンタル料やその他経費をまかなえる法人や団体である*4こと、そして開催する団体に、法人としての東京ドームが認定した「一定以上の実績」の備わっていなければならない“そうです”。*5この「一定以上の実績」がどういうものであるのか。これがなかなかくせ者なのですが、今回は置いておきます。これをコンテンツとしての「ラブライブ!」で敷衍してみましょう。
コンテンツ実績*6
【アニメ実績】
劇場アニメーション初登場観客動員数第一位*7
【公演実績】
2014年・2015年と2年連続でさいたまスーパーアリーナで開催*8
2015年12月31日紅白歌合戦出場*9
【一般層(非興味対象)向け】
NHK紅白歌合戦出場*10

東京ドームがどのような評価基準を置いているかはさておき、ここまでの実績があれば貸し出さないわけにはいきません。公演実績にかんがみても、1日のみ開催の場合の東京ドームにおける入場者数限界は55000人*11ですから、これは充分埋めることができます。この実績だけでも、2日の11万人動員でも埋まる可能性は充分にあります。要はどのようなグループないし個人であっても、それが東京ドームの考えている・自負している「日本の歌手系アーティストの目指すべき最高峰」というブランドを崩さなければよい。

とすれば、東京ドームが貸し出さない理由はないわけです。

混雑に関しての問題となると、嵐が6月に行う「ワクワク学校」や12月に行われる年末公演などは、前日から始まるプレ物販でさえ東京ドームシティを一週させたことすらありますから、これは東京ドームと物販・警備会社ともにノウハウがあります。そのうえ、「過激派ラブライバー」に関して、いままでの公演で大きな騒ぎを起こした、という情報は出ていないわけです。暑くて感情を爆発させる、ということはあれども、寒くて感情爆発、これはあまり聞いたことがないがないですね。*12

ここまで歌手系アーティスト公演と東京ドームの関係について簡潔ながら記述していきました。今回の記事のタイトルは「決定した過程」ということですから、これを推察することが最終目標です。ラブライブ!アニメシリーズにおいてそれがいつになるのでしょうか。

ここでキーになってくるのは、2014年3月より放映された第二期とその後2014年6月ないし7月に発表された「完全新作劇場版」*13の制作日程です。
第二期最終話の結末は、その後の劇場版のはじまりとリンクしているものでした。テレビアニメの制作環境においてどのような意思決定のもと、最終稿までの道筋が下されたかはわかりませんが、全13話のプロットを作らずに絵コンテ制作に入るとはなかなか考えられません。労働管理としてもかなりリスキーです。とすると、第二期最終回で劇場版制作発表が行われていることにかんがみても、第二期と劇場版は連続した制作決定が下されていると考えてしかるべきです。
では、第一期制作発表から、劇場版制作発表までを時系列順に追ってみます。
図1
f:id:aqbar:20160124015423p:plain
少々見にくい図となっていますが、第二期制作発表から第二期放送開始告知まで時間がかかっていることがわかります。その間約8ヶ月。いっぽう、第二期放送発表から完全新作劇場版制作発表までわずか4ヶ月、第二期の終了とあわせた発表です。先ほどの推論がそれほどまでまちがっていないことをある程度裏付けできるかもしれません。とすれば、第二期のプロットができあがったのとほぼ同時に劇場版の結末(=アキバドームエンド)がしあがっていたと考えられます。もちろん細かな変更などはあるでしょう*14。また、第一期終了からしばらく時間の経っています。第一期をそのまま接続させた第二期ではなく、第一期を土台とした第二期と、そのための時間であったとも。さて、これらの動きとμ'sの人気を現すと考えられる指数を連動させてみます。
図2
f:id:aqbar:20160124024733p:plain
CDやBlu-rayの総売上も考えましたが、ある一定の期間における人気を反映している数量的データは、やはり公演の入場者数がもっともふさわしい指標になりえます。CDやBlu-rayは購入者によって数が容易に変動しますから、実人数を把握する*15のであれば、こちらが妥当です。横軸が時系列、縦軸が入場者数(単位は人)です。とはいえ総入場者数はわかりませんので、チケットが完売(=満員)であったと仮定します。グラフ線の丸が公演、横軸にある灰色の丸がアニメの動向に関する情報の発表をあらわしています。ここで目をひくのが2013年中頃から2014年1月にかけての大幅な伸びです。その伸びはおよそ10倍にもなります。それ以前のゆるやかな伸びとは異なる、かなり急激な変化です。この間はアニメ第二期の制作発表から放映開始発表とちょうど被ります。急速な伸びは関連商品の売り上げを含めてラブライブ!制作委員会内でその情報は共有しているでしょうから、おそらく、第二期および劇場版のプロットが確定し、6thの行程がおぼろげながら範疇に入ってきたのは、4thの申し込みが終了してからしばらくであると考えられます。となると、第二期および劇場版の落としどころに決着がついたのは2013年11月末あたりでしょうか。

しかし、これはあくまでも制作委員会の内部でのやりとりおよびアニメでの「東京ドームエンド」です。実際の東京ドームがいつ借りられたかはさらに論を進める必要があります。

6thの公演は3月31日と4月1日、と年度をまたぐかなり徳井な日程で公演が行われることになっています。またこの後、4月9日と10日に東京ドームで水樹奈々の公演が入っており、「水樹奈々が先約を入れていたため、μ'sが日程を抑えられなかった」という言説もいちぶでは見られました。しかし、今回の6thは5thで既に「NEXT WINTER」と予告されており*16、4月をWINTERとするのは、多くの人の見識に照らし合わせてもムリがあるのではないでしょうか。また、3月中の東京ドーム日程を見てみると、3月上旬、公演やオープン戦に関する日程は入っていません。*17
図3:東京ドーム2016年4月上旬日程
f:id:aqbar:20160122160554j:plain
図4:東京ドーム2016年3月上旬日程
f:id:aqbar:20160122160718j:plain

特に3月はがらあきです。通常であればジャニーズや韓流ユニットの公演、ないしイベントが入っているはずの時期です。東京ドームシティの公式サイトでは、過去に公演を行ったアーティストの一覧とその日程を1988年からすべて確認することが出来ます*18。これによれば、3月の上旬から中旬にかけて毎年のように公演が行われていることがおわかりいただけます。となると、オープン戦はともかく、2016年の1月において、2016年3月上旬の公演の発表がどこからも入ってきていないというのは不自然な状態です*19。また、前回の5thが、SSAでの4th第二日目終了時に具体的な日程と会場が公式発表されていた*20一方、5thにおける6thの発表は、日程や会場の告知はなく、「ビッグになって」「NEXT WINTER」など抽象的な時期の説明だけでした。ここで考えられるのは「5thの時点で具体的な日程はまだ決まっていなかった。」ということです。とすると、3月上旬に東京ドームにて他のユニットやグループによる公演の入っていない理由が、少し見えてくるかもしれません。

ここで、図4をもう一度ご覧いただきます。
f:id:aqbar:20160122160718j:plain
本来であれば数回の東京ドーム公演かオープン戦が入っているはずの予定が今年はがらあき。公演でなくともジャニーズが総出で運動会イベントを行うなど、年始の「ふるさと祭」や「キルト展」などの展覧会が終了した後に、プロ野球開幕までのすき間をぬって公演が行われるのが常です。また、東京ドームは野球を除き、1年前までに仮予約、本予約は日程の半年前に決まると言われています。そこで、「先に3月上旬の5日6日ないし12日13日の土日をラブライブ!制作委員会が仮予約していた」という考えを挿入してみます。3月上旬であれば「Next Winter」も充分に満たす日程になります。実際寒い。ですから、制作委員会側は2015年上半期に3月上旬を「仮予約」していたが、日本ハムファイターズの球場変更移動*21を見て*22、2015年11月上旬に3月31日と4月1日の日程で本予約をした、と論を進めるのはさほど不自然ではありません。ですから、抽象的な文言でしか6thの開催日程を表せなかったわけです。とすれば、5thで次回の具体的な日程が告知されなかったこと、3月上旬に現時点でほとんど公演の予定が入っていないのも得心がいきます。μ'sの公演がどちらかの土日にあり、直前の移動であったわけですから。そして公演4ヶ月前、12月に日程発表が行われたのも納得がいきます。交渉及び本予約がぎりぎりまで妥結していなかった、とも考えられるわけです。交渉が始まったのは5thの前後、2015年2月あたり、現実の東京ドームが日程として確定したのは2015年の11月中旬頃であると考えられる、と結論づけます。
この時期であれば、すでに5thの入場者数と物販の総売上も計上されていたでしょうから、東京ドーム側に具体的な収益とロイヤリティ額の提示ができるわけです。ただし、この論が妥当だとしても、当初からどちらを希望していたのかどうかはわかりません。論を導くためにはあまりに情報が少なく、そして曖昧です。ですが、仮にこの論が適切であるのならば、土曜日および日曜日、興業として安定した集客が見込める日程を放棄してまで、この特殊な日程を確保したのにはいかようにも理由が考えられます。つまり、この日程に意味がある。何度も言われているように3月31日は年度末、学齢であれば所属する学校の変わる日、つまり卒業の日です。そして、劇場版ではμ'sの解散、すなわち卒業が描かれた。そして4月1日は新学期、新しい年度の始まる日です。これはもう論を俟ちません。

<2016年2月21日挿入>
こちらのニュースリリースを見落としておりました。斜線部は取り消します。後日、論の再考を行います。

開業以来初!東京ドーム大規模リニューアル計画~唯一無二の快適なスタジアムを目指して~http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01950/7102cf56/67e4/41ff/8cb5/219273fbb39f/20160119153619155s.pdf


はてさて、今回の結論は非常に限られた情報でのみ推察したものです。仮定と仮定の積み重ねですので、実際の制作現場でくだされた意思決定とはかけ離れた論を決した可能性は充分あります。またまだまだ論がごちゃごちゃしているところも残っています。ゆえにこの結論の妥当性については保障しかねます。しかしいろいろと想像するのは良い暇つぶしになりました。いつかこの「答え合わせ」をやってみたい。


余談ですが、東京ドームは区との協定があり、公演は21時30分までしか行えません。周囲の住民への配慮です。前回の5thは18時開始で22時30分終了の4時間30分。それから曲目も増えています。16時開演、これは協定時限の21時30分ぎりぎり、5時間ないし5時間30分行うということなのかなあ。

*1:「μ’s」解散正式発表 来春東京ドームでファイナル公演

*2:ラブライブ『μ’s』、来年春に解散か 東京ドームにてファイナルライブを公演 : アニはつ -アニメ発信場-

*3:「ラブライブ!6thライブ」東京ドーム公演決定!!!!! というデマが拡散される : はちま起稿

*4:株式会社東京ドームへ支払う物販のロイヤリティなども含んだすべての経費です。交通の極めて便利な東京のど真ん中ということもあり、場所代は相当高くつきます。

*5:これを明文化した新聞記事を以前に読んだことがあるのですが、探したところ見つからず。現在も捜索中です。ご存じの方がいらしたらお教え下さい。

*6:代表的なもの、ないし明確に数字を出せるものを記載

*7:人気女優を揃えた「海街diary」を抑え、初登場土日動員25万1811人 【最速】6/13~6/14の映画興行収入ランキングTOP25!初登場1位「ラブライブ!The School Idol Movie」2位「海街diary」ほか | ENJOY CINEMA

*8:37000人/日×2日/年=のべ計74000人/年の動員

*9:出場内定と報道は11月末ですが、出場打診自体はそれ以前と思われます。が、とはいえ、あくまでもこれは人気や知名度をあらわす目安としてお考えください。

*10:9に同じ。

*11:特殊例としては2015年のNEWSがあります。 NEWS10周年公演に6万5千人が熱狂 増田貴久、念願の東京ドーム公演に感涙 | テレビファン・ウェブ もし仮に、構造がNEWSのように中央で小型のステージを確保するものでしたら、無論、55000人より入場者数は増えます。

*12:もっともラブライバーよりも手強い生き物である「女子高生」や「オバサン」が殺到するジャニーズのコンサートに比べれば、そういう意味(どういう意味?)でのおとなしさはありそうですし、寒いとご本尊が縮こまっているわけですから、男のパワーはあまり出そうにもないですし。

*13:

*14:京極監督は「当初劇場版の楽曲は作中で3曲の予定だったが6曲に増えた」とのべています。

*15:もちろん応募倍率などを加味する必要はあります。

*16:

*17:2016年1月22日確認

*18:東京ドームシティ|イベント|東京ドーム公演アーティスト一覧

*19:もちろんジャニーズの嵐など、20万人を一度に動員出来るような超人気グループでは、2014年の「ワクワク学校」開催発表が1ヶ月前であった、などの事例はあるにはあります。

*20:

*21:ニュース | 2016/4/1(金)福岡ソフトバンクホークス戦 開催球場を静岡県草薙総合運動場野球場に変更 | 北海道日本ハムファイターズ

*22:日ハム移動が先行し、制作委員会がそれを後追いしたか、それとも因果が逆かどうかはわかりません。

「宇宙戦艦ヤマト2199」劇伴音楽判別に伴う分類

「宇宙戦艦ヤマト2199」劇伴音楽判別に伴い、個人で使っている用語です。実際の製作現場では新曲を指して「Nナンバー」としているようですが、音楽作曲の観点から「踏襲」や「独自」であるかに焦点をあて、分類いたしました。
「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」に関しては特殊な曲も多くあることから一覧から省いています。そちらに関しては別集計で表出しますのでよろしくお願い致します。

フォローナンバー
いままでの「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの劇伴音楽やシングル等で登場した音楽を総称したくくり。
踏襲することで、「宇宙戦艦ヤマト2199」と初代「宇宙戦艦ヤマト」の根本にある世界観は同じであると表現しています。
・踏襲曲
→初代「宇宙戦艦ヤマト」に登場した劇伴をそのまま用いている「2199」劇伴
「無限に広がる大宇宙」
「元祖ヤマトのテーマ」
「地球を飛び立つヤマト」
「探索機発進」
「ヤマトのボレロ」
「哀しみのヤマト」
「哀しみのスカーフ」
「サスペンスA」
「敵宇宙船の出撃」
「美しい大海を渡る」
「艦隊集結」
「デスラー登場」
「月のクレーター」
「空母の整列」
「哀しみ(沖田の死)」
など
・踏襲派生曲
→初代「宇宙戦艦ヤマト」に登場した劇伴から派生した「2199」劇伴
「無限に広がる大宇宙(Voice)」
「ハーモニカ(真赤なスカーフ)」
「真赤なスカーフBG」

・援用曲
→初代「宇宙戦艦ヤマト」以外のシリーズなどで登場した音楽による「2199」劇伴
 これらの音楽を援用することで、「宇宙戦艦ヤマト」サーガにそった世界観を演出することに成功しています。
「イスカンダルの女(サーシャ)」
「デスラー襲撃」
「白色彗星(Disco)」
「大いなる愛(導く魂)」
・援用派生曲
→初代「宇宙戦艦ヤマト」以外のシリーズなどで登場した劇伴から派生した「2199」劇伴
援用するだけではなく、21世紀の音楽場面に相応しい音楽にアップデートし、「宇宙戦艦ヤマト2199」の即時性を表現しています。
「コスモタイガー(Wan Dah Bah)」

オリジナルナンバー
「宇宙戦艦ヤマト2199」オリジナルの劇伴音楽と、その派生曲を総称したくくりです。製作現場では「Nナンバー」と言われていたそれになります。
・独自曲
「宇宙戦艦ヤマト2199」で独自に登場した劇伴音楽
「宇宙戦艦ヤマト2199」が単なる「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクではないことを表現しています。上記カテゴリーにあてはまると思しき音楽であっても、「宇宙戦艦ヤマト2199」の世界観を強く反映したと思しき曲はこちらにピックアップしています。
「ヤマト前進」
「ファースト・コンタクト」
「ヤマト渦中へ」
「YRAラジオヤマトのテーマ」
「動揺(サスペンス)」
「銀河航路」
「独裁者の苦悩」
「大志」
「永遠に讃えよ我が光」
「魔女はささやく」
「ガミラス次元潜行艇」
「時計仕掛けの虜囚」
「ニュース映画のテーマ」
「第二バレラス」
「帝都防衛戦」
「崩れゆく総統府~希望」
「虚空の邂逅」
「孤高のデスラー」
「地球の緑の丘 旅立ち~帰還、そして明日への希望」
など
※スコア自体は踏襲しているが、テーマを強く反映した曲であるので独自曲に加えました。
・独自派生曲
独自曲から派生した劇伴音楽
「独裁者の苦悩(弦)」
「大志(若者よ大志を抱け)」
「ガミラス次元潜行艇(ティンパニ)」
「帝都防衛戦」
「眠れる想い」
「碧水晶」
など

このうち初代派生曲と踏襲派生曲に関しては実質「2199」独自の劇伴音楽だと考えられますが、分類上わけています。また、これはあくまで作曲上の分類です。使用された場面毎でわければ、踏襲曲・独自曲の括りはまた別の観点から分類可能だとも考えられます。
なおこれは未完成の表です。場合によっては新たな定義や定義位置の移動があるかもしれません。ご了承下さい。

和食デニーズ

和食デニーズというデニーズがかつて営業していたチェーンがありました。詳しい記憶はだいぶ薄れてしまいましたが、いわゆる定食メニューをちょっとおしゃれにした感じだった覚えがあります。ここはご飯はおかわり自由、確か味噌汁もそうであったような?住んでいるところが田舎ですので、そういった食べ放題が標準であるのはずいぶんと重宝しました。田舎は都会に比べて食べる量が多い。

いまも営業しているタイプのデニーズの隣に店舗を開いていたと思いますが、どうもこちらの方はあまりお客のいりは良くなかった。閉鎖になっても15年近く経つのでしょうか。あまりお客の入りもよくありませんでしたので、閉鎖になったときは「やっぱりなあ」とついつい思ってしまいました。結構残念だった。

普通のファミレスだと、ご飯が西洋式の皿で来るので食べにくい。とにかく食べにくい。高級レストランでもないのでガツガツ食べますが、あれは本当にどうにかなりませんか。食洗機で統一しているから、別に皿洗いの手間を増やせないからなのかもしれませんが。

それから10年ほどして定食系チェーンのやよい軒が東京に現れました。同じようにご飯味噌汁お茶おかわり自由。都心部なら需要があったのか。それとも早すぎたのか。当時、イケると思ったんだがなあ。

秋が来た。

暦の上では秋が来ました、と言われてもそれは旧暦ですから1ヶ月早いわけで、今頃が本当の暦の上では秋が来ているはずなのです。ところがそれであっても一歩外に出ればセミの大合唱で家の中は冷房の必要は無くなったとは言えゴキブリが闊歩している。昔はよかった。


この昔はよかった。あくまで全てが主観であって、ここで文を打ち切ってはいけません。あくまで「昔はよかった気がする」としなければなりません。もしかしたらセミは9月下旬まで啼いていたかも知れない。意識していないだけで。ゴキブリは…、これは冬でなければ、成虫になっていない状態なら年中見ることが出来ますよね。
日本では嫌われ者のゴキブリも、中国大陸やイタリア半島にいけば養殖のゴキブリがあるほど一般化した食材です。そもそも現代の昆虫食を毛嫌いする風潮が、ここ半世紀で出来たものです。食糧事情が急上昇する以前の日本では、東京や大阪などの都市部でもバッタやカブトくらいは庶民の食卓にあがることはよくあることでありました。そして21世紀のいまでは、昆虫食は国連が推奨する新しいタンパク質供給源として注目されています。飼料からのタンパク質合成性能がほ乳類に比べて圧倒的に優れているとかか。昔は合理的だった。


さて、大学院の合格が出そろってようやく進路が決まりました。理転受験でも突破してしまい、本当によかったという感想でいっぱいです。旧帝大の学部に通う弟からは「学歴ロンダリング野郎」とTwitterで陰口をたたかれておりますが、ともあれ結果は結果として受け止めていただいきたいものです。決して、お兄ちゃんが行きたかった大学に合格した弟に対するひがみではありません。ないったらないんです。あるわけないだろ。
ところが、卒業単位まで大幅というわけではありませんが、かなり不足している。いわゆるフル単でなければ卒業も怪しい。端的に言います。“ヤバい”
そういえば第一志望の受験でも、解答用紙の小問番号を書き間違える、という試験担当官曰く「前代未聞、初めての」事例をやらかしてしまったので、いや、こういう妄想は気持ちを苦しめるだけですのでやめておきます。やめさせてください。


1960年代に公開された映画「大学の若大将」をご覧になった方はどれほどおられるでしょうか。ご覧になったことのない方のために捕捉するとすれば、どう考えても知的教養もない、分数の計算すら出来そうにない若大将が、大学で女をはべらせ男と乱痴気騒ぎ、ラストに代々続く店をハワイ風のバーベキュー屋?に改築するというお話です。滅茶苦茶なお話です。驚くべきことにこれが当時売れに売れた。一方現実世界の大学に目をやると、1960年代から70年代にかけては、今はもう日本史として語られている学生運動の時代でもあった。ゲバ棒マスクヘルメットという学生運動スタイル(現代なら「コスプレ」として語られそうですね)に身を包み、理論的枠組みなどクソ喰らえでも、大学生が唯々怪気炎を上げ続けていた時代です。それが当たり前であり、そうでない人間はよほどの体育会系か「ノンポリ」学生であった。映画は良いとして、現実世界の学生運動に参加するよ大学生が講義に地道に出席して試験を受けていたとはとうてい考えられませんよね?
だとしたら落第に落第を重ね、この時代の大学卒の肩書きをもつ人間はほとんどいないはずでしょう。ところが、結果は文部科学省の各統計をご覧下さい。

言いたいことはひとつです。

昔はよかった。