過度に適度で遵当な

在日日本人

執筆日程未定の日程

2023/03/08 日本の2つのポストアポカリプス小説 -滅びの抱擁と受容ー

2023/03/11 水戸はYAMAHAか汎用か
☆ これまで「YAMAHA製」と呼ばれてきたJR水戸駅発車メロディーを検討し、それはあり得ない結論に至りました。
通説を覆す。

2023/03/15 駅詳細自動放送の技術史的叙述
松下通信工業の第1号からATOSまで。これまで語られてこなかった詳細接近放送の物語です。

以上です。

トポスの音から組織の音へ ー千里中央駅のメロディーの今後ー

北大阪急行電鉄南北線千里中央駅は棒線駅格下げにともない、
・到着放送(埴生の宿+放送)
・発車メロディー(終電を含め全種類)
を廃止します。
なお、南北線延伸線開業後は全曲を箕面萱野駅に移行、継続使用します。

北大阪急行電鉄の伝統の音として残したい。
ところが、千里中央駅はシステム撤去で鳴動が不可能になる。
そこで箕面萱野駅に全て持っていくと決定しました。
阪急系列企業ですから、そうしたレガシーをしっかり見極めたのでしょうか。

すなわち、千里中央駅のトポスに基づいた音だった各曲が、「北大阪急行電鉄の音」としてみなされたわけです。
トポスに紐づいた音は「Musical Topophilia」の術語がありますが、組織に結び付いた音の術語は不勉強で分からない。
例えばマックのポテトの音もそうだろう。

「Musical Topophilia」の終わりは別の始まりでもあるわけだ。

「永楽音源」PJ完結篇 ①―永楽電気さん、それは間違っているし、おかしい。ー

もーめんどくさい。
今でもほんのりと怒りが湧いてきます。
まず構成整理も今後必要になります。ですので今回は①としています。

さて、ある風聞が小生の耳に入ってきました。
「永楽電気出禁になった人でしょ」
え???
なんですかそれは。
なんだその空言は。いつ、誰から、どうやって流布したんだ?
SNSで永楽電気社の不誠実な対応、著作権管理上の危険な火遊びを注意したところ、なぜか、責任が小生に転嫁された。

人間が持つある種のバイアスとして、「Aされたのは、されたB側に問題があったからだ」と他責化思考が一般化しています。
イジメでよく見られる論法ですね。
「いじめられた方にも責任がある。」
と、よく耳にすると思います。
なわけないじゃん。
それで暴行を正当化出来ると思う方がどうかしています。
それとも理由はなんでも良い、生粋の加虐主義者かもしれません。
その例のひとつだと思われますが、永楽電気が小生に何か裁可を下した(=「出禁」)という話はどこからでできたんでしょう。

JR大崎駅の永楽電気社主催のイベントで小生か同社社員に何をされ、何を言われたか。
エビデンスベースでお話する必要があります。幸いにも録音データは確保してあります。音声から再構成してみましょう。

2023/10/7㈯と2023/10/8㈰に永楽電気株式会社はJR東日本大崎駅と合同で発車ベル操作体験イベントを実施しました。
以前から「永楽電気」のSNSで情報発信しただけあり、かなりの気合の入り様です。


そこに、すごい情報が入ってきました。「永楽音源」が再生できる、と。
10/8㈰はすごい人だかり。
3年前から「永楽音源」の実際を探るべく調査を続けてきた小生にとっても、ここで貴重な情報を得られれば、調査はかなり進展します。

ところが、そうはなりませんでした。

【不誠実な対応】

1 永楽電気社広報担当による質問拒絶と箝口令発令
JR大崎駅現場にいた永楽電気広報担当者から、小生の著作権絡みの質問を全て「分かりません!」と大声かつ威圧的に答える。
※ 録音データより文字起こし
また、現場にいた複数人の証言により、当該担当者が小生に対し「あの人の質問に一切答えてはならない。」と緘口令を強いていた事実も明らかになっています。


2 不審な回答
当初、永楽電気社員より、
「うちはハードだけ作り、ソフトは作っていない。」
と回答を得ました。
とすれば、「永楽音源」はソフト提供者に問い合わせれば1発です。ここは単刀直入に、
「それはJR東日本ですか?」
「いや、お客様から…」
「そのお客様はJR東日本なのですか?例えば白岡や久喜はこの曲ですよね。JR東日本大宮支社に問い合わせれば、すぐ分かります。大宮支社とは違うのですか?」
「……お客様からいただいだいたものを」
「秘密保持契約でお答え出来ないのですか?」
「いえ、違います。」
「質問に応じられないとの回答ですね。ありがとうございます。」

※ 録音データより文字起こし。

3 小耳に挟んだ企画主催若手社員による回答
「…うちにあるディスクから私が編集しました。どこの製品かは分からず、社内ではNationalでは?と言われています。それは次回に向けて今後、勉強します。…」
※ 録音データより文字起こし。

【対応の問題点】

上記1~3に対応する問題点を列挙していきます。
1 現代広報としてありえない応対です。絶対にありえません。企業に余計な敵を作りかねない対応です。
『災害情報論』も入手した情報はできる限り公開する学説を支持しています。これはBtoC広報の鉄則です。箝口令なんて愚の骨頂です。

これまでBtoBで活動してきた永楽電気社にはむずかしかったかもしれませんが、イベント前にBtoCに特化したコンサルタントを入れて指導を受けるべきだった。広報担当者にBtoCイベントの広報ノウハウがまるでなかったことが災いした。
しかし、現代広報理論であろうがなかろうが、第三者たる参加者に声を荒らげること自体がおかしい。

2は論外です。この話の勘所はお客様(クライアント)に全ての責任を押し付けているのと同義と言えるところです。
敷衍すると、クライアントから提供された音声を使っているから永楽電気社は無関係である、と。
……え?
現在JR東日本東北地方やJR西日本地方で聴けるあの声の組み合わせも全部偶然の一致だった?
まず永楽電気社のサイトから『会社概要』を見てみましょう。

電力機器・情報通信機器・その他機器に関するハードウェア及びソフトウェア設計・製作 及び製品に付帯する工事の設計・施工

www.eiraku.com

その「ソフトウェア」の定義は分かりませんが、少なくとも、「ソフト」の仕事を全く受け持っていないワケではありません。
音声も偶然、両旅客鉄道会社から提供されたのでしょうか。確かに日本是国各地で使われています。が、それならばJR西日本などの許諾も得なければならない。
どうも2の主張は鵜呑みにできません。となると、若手主宰社員の発言、3が正解のように思われます。

【総合した問題点】

永楽電気社はBtoCイベントにおいて一般参加者に対して虚偽の説明を行ったばかりか、管理責任をクライアントにすり替える説明すら行った。
また、BtoCイベントにおいて禁じ手の「参加者の差別」を行った。
さらに、3の発言から明らかなように、著作権管理者不明の音源を改変する、著作隣接権だか著作人格権だか…、複雑怪奇な著作権問題のリーガルクリーニングをほぼ行わず、参加者に録音行為を許す、看過できない組織から見たら看過できないイベントを「永楽電気」の名前で実施した。
その上、本イベントの実施はJR東日本大崎駅と共同であり、JR東日本大崎駅の責任も場合によっては免れ得ない。


JR東日本マークも入っており、JR東日本も責任の一端は免れ得ないのではないか。



そして分かったことは1つ。永楽電気社は小生のブログ以上の情報は分からない。
そして小生は「永楽音源」の法人著作権所有者はをほぼ特定しました。ただ、執筆に割ける時間をコツコツと積み重ねているのですぐには難しい。

ただかわいそうだな、と思ったのは、入社1年目の技術系社員には荷が重すぎる。
と、同時に、首脳陣は稟議に裁可を出す前に弁護士に相談しようとは思わなかったのだろうか。

内定通知書をいただきました。

皆さん、こんにちは。そしてお久しぶりです。
求職活動が実り、無事に内定通知書を頂きました。
短期インターン→ 正社員登用可否決定 → 内定
と紆余曲折を経ました。
長いトンネルをようやく抜けました。スタートラインに再び立てました。
コンサルティング業界という完全異業種、31歳からの挑戦です。
目の前のことに集中し、何とかその分野の「使える人間」にならなければ。それも短期間で。

とはいえ全部仕事の生活は遅かれ早かれ潰れます。そうならないよう、メリハリの付け方を何とか身につけらる必要もあります。課題は多い。
・業界での身のこなし方
・会社組織内の身のこなし方
・プロジェクト内の身のこなし方
・業務と生活の二刀流
の4つを身につけんとならんのでは無いかと考えています。
短期決戦、これまで─舐めていたという─誤魔化していとものと一気に向き合わないとならんです。


気になる役職は「シニアコンサルタント」採用でした。
どんな仕事やねんと調べると、
具体的な内容は
・いわゆるPM。
・マネージャの方針とチームの業務をすりあわせる。
・各種資料の1次レビューア
・若手の育成も任せられる。
と、任せられる仕事も幅広い。
なるほど。これは上に行くための登竜門だな。
ここで結果を出すことが出世に繋がる。

調査分析、仮説構築はお得意だが、ここからは全体思考と職務領域の見極め、そして対人スキルがものを言う。

苦手なんて言っておられんぞ。

今回は運も良かった。そして人に恵まれた。


だからこそ、後悔の残る断念はもうしたくない。

「永楽音源」PJ、再起動②

小生、動いています。

いやー、ここしばらくメンタルの負のスパイラルが続き、PCの電源を付けても机の前に座れない、布団から出れない、そして何より、鉄道コンテンツを見る/聴く/プレイするのもキツい、という最悪な状態が続いていました。鉄道コンテンツがメンタル的にキツくなるのは相当です。今もちょっとキツいですが、何とか踏みとどまっています。

皆さんもメンタルの問題は一部の人間に限られると思われるかもしれません。でも、殆どの人が、30を越えたらメンタルの自然回復速度が急速に落ちて行ったことに気が付くはずです。普段通りに睡眠を取ってもメンタルがどうもおかしい。そこでメンタルクリニックに行くなり自覚的に手を打たなければ、メンタルのおかしさが快復しない負のスパイラルに陥っていく。その先はいわゆる「鬱」であったり、「適応障害」であったりします。そして「鬱」は治療開始が早ければ早いほど治りが早いんです。

30を過ぎたら、自分のメンタルは自分でケアすること。それを怠るとメンタル破壊のスパイラルに陥ります。今はうら若き皆さんも、ぜひ覚えておいてください。本当に覚えておいて損はありません。マジです。

さて、先日に本ブログで書いた
aqbar.hatenablog.com
ですが、少しだけ進展がありました。それでもほんの少しだけです。

「永楽音源」のような編曲者不明の著作物は文化庁裁定制度による文化庁長官裁定を通して、一時的に利用することができます。その条件は文化庁の当該ページ
www.bunka.go.jp
にアップロードされた手引書PDFに書かれています。前回の「「永楽音源」PJ、再起動します。」でこの文化庁裁定制度を利用した「永楽音源」の文化庁長官裁可獲得を目指す、と宣言しました。
一見しても複雑な制度と分かるため、文化庁は、この裁定制度の申請をする前に一度連絡して欲しいと呼びかけています。その呼びかけに応じ、文化庁担当部局に問い合わせをいたしました。担当者の方は懇切丁寧に制度と必要事項の説明をしてくだいました。素晴らしい。昔の霞が関より遥かにやわらかくなりました。大蔵省、外務省、運輸省、建設省なんてひどかったですからね。担当者の方と小一時間ほどご説明を受けておりましたが*1、その中で、私が見落としていた1点、ならびに私が誤読していた1点が明らかになりました。

【見落とし点】
編曲されていても、原曲の権利者個々人から許諾を得る必要がある。
完全に見落としていました。「永楽音源」の楽曲は殆どが著作権失効していますが、「ムーンリバー」や「夕焼け小焼け」等は現在も作曲者が権利を保有しています。作曲者個々人から文化庁裁定制度の利用と再版の許諾を得る必要があります。担当者の方から助言が無ければ、仮に書類に不備がなくとも、またイチからやり直しになるところでした。次の誤読点の課題を解決後に権利者個々人あるいは権利管理者に接触し、許諾を得るつもりです。

【誤読点】
手引書中*2にある「相当期間にわたり公衆に提供され,若しくは提示されている事実」を誤読していた。
これは本当に危なかった!担当者の方からこの一文の定義を訊かなければ、また振り出しに戻る羽目になっていました。文化庁が手引書で繰り返し「裁定制度利用に着手する前は一度文化庁担当部局に問い合わせください。」と注意していた理由が分かりました。行政文書の定義は修士号程度の素人には読みこなせないとよく分かりました。
さて、この一文の定義はざっくりと言うと「業務用CDだろうが販売実績がある」ことです。マジですか。これまで30年の間、正体不明だった音源集です。日本レコード協会のレコード商品番号体系に登録されているかどうかすら定かではありません。
これはキツい課題を文化庁から課されてしまいました。NDLで音楽年鑑を読みつくしても主要作品しか載っておりませんし、ちょっとこれはダメかも分からんね。

とはいえ小生、諦めませんよ。

小生、動き続けます。

*1:担当者の方には終業時間を越えてもご対応いただきました。あの節は本当にありがとうございました。

*2:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/chosakukensha_fumei/pdf/92929201_01.pdf

「永楽音源」PJ、再起動します。

2020年12月、たまたまメルカリを徘徊していたところ、1枚の業務用音源CDを購入しました。到着したCDを見ると、ジャケットに見覚えのある題名が幾つか並んでいます。こうした業務用音源は各社が相互に参考にしているため、曲の被りはしばしばです。ですので最初は、「新しいCDが手に入った」程度にしか思っていませんでした。
ところが、PCに取り込んで再生すると、駅で聴いたことのある「牧場の朝」「アマリリス」「花の言葉」…等のマスター音源と思しき音声が収録されています。実際の駅の再生速度より若干遅く収録されています。そのため、駅と同じ速度にして再生してみます。すると、駅と全く同じノイズが聴こえる。
他の曲も再生速度をいじり、駅使用のものと同じにしてみます。「牧場の朝」「ムーンリバー」「アマリリス」「浜千鳥」…、どれもが聴いたことのあるノイズを伴って再生されます。30年間追い求められてきた「あの」音源が縁あって手元にやってきた瞬間でした。これらの楽曲は、これまで「永楽電気」制作と言われてきました。小生もそう信じてきました。しかし、CDのジャケットをいくら眺めても「永楽電気」の「永」の字もありません。その代わり、P社の子会社の銘記があるのみです。そう、これまで「永楽電気製」と思われてきた発車メロディーが、実は永楽電気制作の楽曲ではない。これまで一部の好事家には知られてきた流言に確証が取れた瞬間です。
その興奮をそのまま記事にしたのが以下です。
aqbar.hatenablog.com
現在改めて読み返すと、後半の文章がおかしいうえに、CDのジャケットに銘記された企業を制作メーカと断定しています。この断定は後日、間違いであったと判明します。
永楽電気株式会社は鉄道通信関係に強みを持つ老舗企業です。企業見本市にも積極的に参加しています。関係業種に就職した好事家が、直接、永楽電気の担当者に質問をぶつけたところ、「弊社の曲と思われているのは承知している。しかし、弊社が制作したものではない。」と回答を受けた、その話は一部でも流通していました。また、永楽電気が直接関係のない場所で同じ楽曲の使用が確認されてもいました。たまたま手元にあった業務用音源を発車メロディーに転用した、そんな担当者の姿が思い浮かびます。
では制作メーカあるいは編曲者を探し出したい。そう考えて執筆したのが以下の記事です。
aqbar.hatenablog.com
末尾に小生は

そして一般販売へ…
小生、動きます。

と記しました。2021年11月のことです。しかし、そこから調査は難航します。なにせ業務用音源ですから市販ではありません。すなわち、国会図書館を始めとした公立私立図書館は所蔵していない可能性が極めて高いと言えます。実際、OPACを幾ら探しても出てきません。編曲者もJASRACに登録していません。そして思い当たる限り関係する全ての企業に問い合わせましたが、「弊社はお客様から頂いた音源を組み込むだけであり、制作は行わない(P社)」「詳細が分からない(N社)」「(YPS社は無回答)」と八方ふさがりです。永楽電気株式会社の生き字引と呼ばれる方にお訊ねにしても手掛かりは得られませんでした。まさになしのつぶて…。私が1枚だけ持っている独占性はどうしてもいやでしたから、何らかの突破口を作りたい。しかし著作者や権利執行者でもありませんから、私的な範囲に限定されます。法律の縛りがとても強い。

しかし、ひとつの光明が見えてきました。文化庁の著作権者不明等の場合の裁定制度*1の利用(以下「文化庁裁定制度」とする。)です。
「1 裁定制度の概要」からひとつひとつ読んでいくのは骨が折れます。読者の皆さんと目線を合わせたい。そこで、ざっくりと、この制度がどのようなものか説明いたします。
行政文書は特徴的な用語、特有の言い回し等が合わさって、特定の訓練を受けた人間でないとなかなか読み解けません。幸いなことに大学院で研究者見習をしていた頃は膨大な量の行政文書を読んでいたこともあり、読み解く一助になりました。
しかし、文化庁裁定制度の文章は、霞が関官僚が繰り出す文書の中でもかなり分かりやすい方です。ところで、霞が関が繰り出す行政文書に馴れてしまうと、ミイラ取りがミイラになります。己も霞が関文章メーカーになります。そして指摘されるまで気が付かない。怖い。怖すぎる。
戯言はさておき、どのような制度か。文化庁が配布する文書を読んでみましょう。ここに手引書があります。
「裁定の手引き~権利者が不明な著作物等の利用について~」*2
全部で70ページです。霞が関の文書としてはわりと薄い。それでも全て読むのは骨が折れます。読みました。
ざっくりいうと「文化庁長官が一時的に著作者に成り代わり、補償料を支払うことでその著作を利用することができる。」とする制度です。この制度の裁可を受けることで利用可能になる「著作物」も、「著作者が明らかな廃絶の意思を見せておらず、著作者や編曲者の意図に左右されてもいない、公然と長期間、世間を流布してきたもの」と定義されています。…まさに発車メロディーや街頭時報じゃないですか。そして文化庁裁可制度が定める、ウェブサーチ、各所への問い合わせ、著作権者捜索広告の掲示等「相当な努力」を実施すれば、文化庁文化審議会の諮問・答申に進めます。ここで文化庁長官に利用妥当と専門家委員が上申すると最終ステップに進めます。文化庁長官裁可です。箇条書きにしてまとめましょう。
1 文化庁に裁可制度利用の宣言のために問い合わせる。
2 著作者と連絡を取るため、文化庁裁定制度が定める「相当な努力」を実施する。
3 2が失敗した旨および文化庁裁可制度裁定の希望する旨を文化庁に申請する。
4 3をもとに文化庁文化審議会が可否を上申し、文化庁長官がそれを裁可する。
5 4の裁可を待つ。
の5段階です。

『涼宮ハルヒの憂鬱』の登場キャラクターである朝倉涼子が曰く「やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいいって言うよね。」と。
文化庁長官が発令する権限は時間的制限と量的限界も定められているものの、文化庁の定める「相当な努力」、申請文書の作成、わりと高額な申請手数料に鑑みても、
やってみる価値はあると思います。


小生、再起動します。


ところで問題は、文化庁長官に納入する使用補償金は法人利用を見越しているために個人には負担が重たいこと。手引書の42ページ等に文化庁が見越した金額が載っています。わりと重たい金額です。
そして補償金裁定シミュレーションサイト*3を文化庁は公開しているのですが、書籍を除いたほとんどの場合で「下記の団体にお問い合わせください。」と突っ返されます。え?シミュレーションしてくれないの?

転職、新海誠、発車メロディー、防災行政無線、アニメ評論 -単なる内容の羅列-

会社をクビになりましたが、1か月で別企業様から内定を頂きました。総合職兼管理職としての採用で、お給金は前職の倍以上です。そして東証プライム(旧東証一部)上場企業です。ですが、そんなことはどうだっていい。それ以上に嬉しいのは、これまでの研究が企業様から高い評価を頂戴し、しかも研究テーマが仕事になる!
研究を仕事にできる。理工系ならしばしばあり得ることかもしれません。しかし、人文系だと滅多にないのではないでしょうか。人文系修士かつ研究者の端くれとして、これ以上嬉しいことはありません。どんな仕事内容になるのか不安ですが、渾身の力で、それでいて地に足をつけて仕事をこなしていく所存です。


2019年にアニメ評論同人誌に投稿するため、1本のアニメ評論を書きました。ちょうど『君の名は。』の放映直後でしたし、小生の大好きな発車メロディーや防災行政無線が出てきて、「この監督の着眼点は本当に小生にそっくりだ」と感心していた時期でした。一方、作品中の発車メロディーや防災行政無線の使い方にちょっとした癖や既視感のある、監督の意図を感じる部分も多くありました。頭の中でもやもやしていたのを一気に吐き出したのが、以下のGoogleリンクからアクセスできる「『君の名は。』の音響共同体 都市の<音>と地方の<音>」です。
drive.google.com
掲載したアニメ評論同人誌は『アニクリvol.3.5 特集〈アニメにおける音楽/響け!ユーフォニアム+ 号〉』です。掲載から3年も経ているので自由に読んでいただいて良いかな、と執筆者としては勝手に思っています。
この評論同人を要約すると、レーモンド・マリー・シェーファーという人が提案した「サウンドスケープ」という概念を足掛かりに、アニメ音響には、聴き手であるキャラクタの耳が反映されているのではないか?と論じたものになります。それまでアニメにおける音響効果は殆ど議論されてこなかったこともあり、わりと面白いことを言えたのではないか、と考えています。本文はWordのA4ファイルで20ページほどありますが、ぜひお読みください。

その後、新海誠は『天気の子』を発表します。楽曲名を見てびっくり。曲名が「グランドエスケープ」。建築用語では「サウンドスケープ」と「グランドエスケープ」は対置的に使われます。どなたが命名されたか分かりませんが、東京を上空から一望する場面で再生される楽曲です。「景観」を意味する「グランドエスケープ」は場面に相応しい名前と言えます。と同時に、『君の名は。』で「サウンドスケープ」論を基に作品中の発車メロディーや防災行政無線、キャラクター、音を議論した人間からすると、「まさか読んでくれたメッセージ?!」と反応したくなるのもむべなることかな。

『天気の子』も小生の大学院修士課程在籍時と大学院修士課程修了以降の研究テーマである防災政策史研究を絡めた評論を書こうとしているのですが、『君の名は。』ほどのパワーが出ず、未完成のままです。そろそろ書き上げたいのですが、『すずめの戸締り』も自然災害を扱った作品であると聴きに及び、『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締り』を総合して、新海誠の自然災害観に迫る内容に変更しようかな、と思っています。『君の名は。』とほぼ同時期に上映された『シン・ゴジラ』を徹底的に批判しつつ、新海誠のナイーブさがむしろ、災害傍観者としての我々(=非被災者)にとって相応しいものである、と論じる設計になるのかな、と現在は考えています。お楽しみに。

ところで、余談なのですが、『君の名は。』における防災行政無線の呼びかけは中世日本の「神隠しの呼び戻し方」と共通項が少なくありません。で、音と「神隠しの呼び戻し方」を詳述した書籍は管見の範囲、1冊しかありませんでした。恐らく新海誠と小生は同じ書籍を読んでいます。それは
・笹本正治,1990-2008,『中世の音・近世の音―鐘の音の結ぶ世界―』
です。これが正しければ『君の名は。』における防災行政無線は呪術的手段だと言えるはずです。上記評論を読まれた方なら、評論中で神隠しについて突然言及したように思われるかもしれませんが、念頭に置いた元ネタがあります。
新海誠はしばしば己の読んだ書籍を公開する癖がありますので、それらの画像を探したら新海の書棚にあるかもしれません。

商業の書き仕事、学会研究報告、同人誌の締め切りが11月~12月にかけて5つもある中、新海誠と災害論も書くのは無理です。着手するとなると、来年以降でしょう。

いやはや、がんばります。